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アニくんはどんな猫だったのか(アニくんの3.11)その2

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    続き

    夕方になり、アニの事はいったんあきらめて、三陸沖や仙台の惨状を
    テレビやラジオで知るにつけ、私は近所の方々の姿を求め、
    隣に住んでいる高齢のお婆さんの部屋をノックしてみたり、

    マンションのロビー付近に出てきている人たちに声を掛けたりしていた。

    夕方に近づき冷えてきた中、マンションから降りてきて余震を
    避けている人々の中には、飼っているインコを巣箱ごと毛布を上からかけて、
    じっとしている人もいた。





    ラジオからは津波の様子が伝えられて、それはそれは恐ろしい地震だったことが、
    だんだんと分かってきたのだった。

    僕のいるマンションの向かいの薬屋さんのお兄さんに声をかけてみると、地震の時
    ちょうど僕のいるマンションが強く揺れているのを目にして、これはきっとマンション
    が壊れると思ったという。

    それから僕は行きつけのパン屋さんにも行って地震の話をしていた。


    そして夜になった。

    僕はアニは見つからないことで一人でいることが嫌になり、
    さらに余震の恐ろしさから、6階のマンションよりは近所の平屋の
    ラーメン屋さんのほうが、たとえ余震が来たにせよきっとましだろうと思い、
    行きつけのラーメン屋さんへ行って
    少しアルコールを取りながら食事をとることにした。

    店内はすでにたくさんお客さんがいて、地震の話をしていた。

    電車が止まっていたので、カウンターで一緒になった方は、
    どうにかこうにか自転車で都心から帰ってきて、たまらず多摩川を
    渡る前に食事を取ることになったと言っていた。

    結局、ラーメン屋さんを出て部屋にもどったのは21時ごろ
    だったのではないか、そしてまたアニを探し始めた。

    しばらく探したのち、ようやく見つける事ができたアニは、
    部屋の壁と家具の隙間のほんとに狭い、こちらからは容易には手の届かない
    空間にいたのだった。

    アニに私は、「出ておいでよ、少しご飯を食べたらどう?」みたいな感じで
    声をかけてみた、そしてちょっと背中のあたりをさすってみたのだが、

    決して出てこようとはしませんでした。

    私はあきらめて、せめて昼から何も食べたり水をとったりしていない
    アニのために、カリカリの入った皿とお水を傍らの狭い空間に置いてあげたの
    だが、それにも手をつけようとはしなかった。

    結局アニは、翌日の早朝に運転再開した電車に乗って帰ってきた
    妻が部屋にもどってきてからしばらくして、ようやく出てきたのだった。



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